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おうちで旅するモロッコ スパイス香る鶏肉と野菜の簡単タジン

Tags: モロッコ, タジン, 鶏肉, 野菜, 簡単レシピ, ソウルフード, アフリカ料理

旅情を誘うモロッコの味、タジンをおうちで

北アフリカ、モロッコの家庭料理を代表するタジンは、スパイスの豊かな香りと、素材の旨みがぎゅっと凝縮された味わいが魅力です。モロッコの街を歩けば、活気あふれるスーク(市場)の片隅で、独特の円錐形の蓋を持つタジン鍋がずらりと並び、食欲をそそる香りが漂ってくる光景を目にすることができます。それはまさに、その土地ならではの文化と食が融合した、旅の記憶に深く刻まれる光景です。

タジンは、本来その名の通り「タジン鍋」という専用の土鍋で作られます。蓋の形状が蒸気を効率よく循環させ、少量の水分でじっくりと素材を柔らかく、風味豊かに仕上げる仕組みです。しかし、今回は特別なタジン鍋がなくても大丈夫。ご家庭にある普通の鍋やフライパンでも、その美味しさを十分に再現できる、手軽なレシピをご紹介いたします。忙しい日々の中でも、この一皿でモロッコへの小さな旅気分を味わっていただけることを願っております。

このレシピのポイントは、手に入りやすい材料を中心に使い、難しい手順を省いている点です。いくつかの基本スパイスと身近な野菜、そして鶏肉があれば、本格的な香りと味わいを楽しむことができます。

材料(3~4人分)

調理手順

  1. 鶏もも肉は余分な脂肪を取り除き、一口大に切ります。塩、こしょう各少々(分量外)を振っておきます。
  2. 玉ねぎは薄切りに、ピーマンとナスは一口大に切ります。トマトはざく切りにします。ひよこ豆は缶汁を切って軽く水洗いします。
  3. 鍋または深めのフライパンにオリーブオイルを熱し、鶏肉の皮目を下にして入れ、中火で焼き色がつくまで焼きます。裏返してさっと焼き目をつけ、一度取り出します。
  4. 同じ鍋に玉ねぎを加え、しんなりするまで炒めます。
  5. (A)のスパイス、生姜、にんにくを加え、弱火で香りが立つまで1分ほど炒めます。焦がさないように注意してください。
  6. ナス、ピーマン、トマト、ひよこ豆、(3)の鶏肉を鍋に戻し入れます。
  7. 分量の水と塩を加え、全体を軽く混ぜ合わせます。
  8. 蓋をして弱火にし、野菜が柔らかくなり、鶏肉に火が通るまで15〜20分ほど煮込みます。途中で一度混ぜても良いでしょう。
  9. 味見をして、塩、こしょうで味を調えます。
  10. 器に盛り付け、お好みでレモンのくし切りを添えれば完成です。

調理時間目安:約30分

調理のコツ

完成イメージ

彩り豊かなタジンは、テーブルに運ぶだけで食卓がぱっと明るくなります。ホロホロになった鶏肉と、スパイスの香りをまとった柔らかい野菜、ふっくらとしたひよこ豆。これらを一緒に口に運べば、モロッコの風を感じられるような奥深い味わいが広がります。

現地ではクスクスと一緒にいただくのが定番ですが、もちろん炊きたてのご飯とも相性抜群です。パンを添えて、ソースをつけながら食べるのも美味しいでしょう。食後にはミントティーを淹れれば、より一層モロッコらしい時間を演出できます。

まとめと応用

今回ご紹介した鶏肉と野菜のタジンは、モロッコ料理の豊かな世界への入り口となる一皿です。基本的なスパイスと簡単な手順で、ご家庭でも十分にその魅力をお楽しみいただけます。

このレシピをベースに、牛肉やラム肉、魚介類を使ったり、じゃがいもやズッキーニ、オリーブやドライフルーツ(レーズンやデーツなど)を加えたりと、様々なアレンジが可能です。使う素材によって煮込み時間を調整してください。

忙しい日には、あらかじめカットされた野菜を使ったり、スパイスをブレンドしたミックススパイスを活用したりするのも良い方法です。また、最近ではオンラインストアや食材宅配サービスでも世界のスパイスや珍しい野菜が手に入りやすくなっていますので、そういったサービスを利用するのも手軽に異国の味に挑戦する助けとなるでしょう。

タジンは、食材の旨みを引き出す優しい調理法でありながら、スパイスによって力強い個性を持つ料理です。ぜひご家庭で、モロッコの豊かな食文化の一端に触れてみてください。